胃もたれとは
消化しづらいものを摂取した際や、胃の動きをコントロールする自律神経が乱れると、胃の中に食べ物がずっと残っているように感じる症状が現れます。感染性疾患である感染胃炎やインフルエンザを発症した際の初期症状として生じることもあります。一時的な胃もたれはゆっくり休んで、食事を控えることで落ち着きます。感染性疾患の場合は、下痢や発熱などの症状が徐々に現れるため、病状に応じた治療を実施します。
胃もたれの診察のタイミング
以下のような症状があれば、なるべく早めにご相談ください。
- 暴飲暴食していないのに胃もたれの症状がある
- 毎食後に胃もたれの症状がある
- 体重減少が起こる胃もたれ
- 胃にやさしいものを食べているのに、胃もたれがなかなか治らない
時間が経つと治る暴飲暴食が原因の胃もたれは、大きな心配は不要ですが、胃もたれが頻発すると胃腸にかかる負担が大きくなります。お酒と食事は程々でストップしましょう。
胃もたれの原因
加齢
胃は、食べ物を消化しやすくする蠕動運動を行い、食べ物を小腸まで届けます。胃の機能は加齢に伴って弱まり、食べ物が胃の中に長く残り、胃もたれの症状に繋がります。また、胃粘膜を防御する役割を担う血流が滞ると、胃腸の不調に繋がります。
ストレス
胃の働きは自律神経によってコントロールされており、ストレスによって自律神経が乱れると胃の機能低下を招き、蠕動運動に支障をきたして胃もたれの症状に繋がります。
食べ過ぎ
食べ物は、消化しやすいものと消化しづらいものに分けられます。焼肉や揚げ物のような高脂質の食べ物は消化しづらく、過剰摂取によって胃の中に長く溜まります。そして、胃に大きな負担がかかり、胃もたれの症状に繋がります。
飲み過ぎ
お酒を飲み過ぎるとアルコールがきちんと代謝されず、アセトアルデヒドによって二日酔いや胃もたれの症状に繋がります。アルコールは2割程度が胃で、残りの8割程度は小腸で吸収されます。お酒を飲み過ぎると胃粘膜にダメージが及び、血流が滞り腹痛や嘔吐などの症状が起こります。
妊娠
妊娠がきっかけで代謝やホルモンバランスが変わり、胃もたれや吐き気の症状が現れる「つわり」が起こることがあります。胎児が成長して子宮が広がると、胃に負担がかかって機能低下が起こり、胃もたれの症状に繋がります。
胃もたれに関連する消化器疾患
逆流性食道炎
食道に胃の内容物や胃酸が逆流することで、粘膜の炎症に繋がります。胃もたれなどの症状の他、げっぷ、呑酸、胸焼け、咳などの症状も起こります。逆流性食道炎は再発リスクが高く、炎症が慢性化すると食道がダメージを受けて、がんを発症する恐れがあります。なるべく早めに医師に相談し、適切な治療を受けることをお勧めします。
慢性胃炎
ピロリ菌感染によって発症することが多く、急性胃炎を放っておいて胃粘膜の回復が間に合わなくなって炎症が長引いた状態のことです。吐き気、胃痛、むかつき、胸焼けなどの症状が現れます。
食道裂孔ヘルニア
逆流性食道炎の発症を招くことがあり、横隔膜に位置する食道が通る隙間から胃が飛び出した状態のことです。
食道アカラシア
胃と食道の繋ぎ目が緩みづらくなり、胃に食べ物が送られてこない状態のことを刺します。吐き気・嘔吐、胃もたれ、むせる、飲み込みづらいなどの症状が現れ、食道下部に食べ物が残り続けます。
胃炎
胃炎の発症原因は複数あり、食生活やストレス、ヘリコバクター・ピロリ菌感染、飲酒、喫煙、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)などが挙げられます。慢性胃炎によって、胃がんの発症リスクがある萎縮性胃炎の発症を招く恐れがあるため、なるべく早めに治療を受けることをお勧めします。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃もたれや胃痛などの初期症状が生じます。胃・十二指腸の粘膜がただれて損傷した状態であり、重症化すると貧血、吐血、黒いタール便などの症状も現れます。重度の潰瘍によって粘膜が穿孔する恐れがあるため、なるべく早めにご相談ください。
胃がん
発症初期は自覚症状が乏しく、進行しても胸焼けや胃もたれなどの軽度の症状が現れるくらいですので、発症を自覚できないこともあります。胃もたれなどの症状が長引いている場合は、なるべく早めにご相談ください。
機能性ディスペプシア
検査で炎症は見つかりませんが、胃痛、胃もたれ、膨満感、吐き気などの症状が現れます。 消化管の知覚過敏や機能低下によって発症するとされています。適切な治療によって症状の解消が期待できますので、症状が起こっていても検査で問題が見つからなかった方はご相談ください。
胃もたれの診断・検査
胃もたれの症状があれば、早急な治療を要するかチェックすることが重要です。問診を実施し、専門医が胃カメラ(上部内視鏡検査)検査を実施した上で注意深く診断します。
胃カメラ
食道、胃・十二指腸などの上部消化管全域の粘膜を、カメラ付ファイバースコープで鮮明に映し出し、リアルタイムで状態を確認します。検査中に疑わしい病変組織が見つかれば、一部を採取して生検検査を行います。胃カメラ検査によって胃がんの早期発見が実現され、専門的な治療によって完治が期待できます。当院の胃カメラ検査は、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医が行います。検査、結果説明、その後の治療方針について、患者様がしっかりと理解できるように懇切丁寧に説明させて頂きます。ちょっとしたことでも、気になることがあればお気軽にお尋ねください。
胃もたれの治療
生活習慣の改善
日常生活で初めに見直したほうが良いのは食生活です。食事の量や内容を見直し、刺激物の摂取や高脂質な食事は控えましょう。また、よく噛んでゆっくり食べることや、夕食は就寝の2時間前までに終えることを意識しましょう。加齢に伴い運動量が少なくなるため、日常生活において無理のない運動習慣を身に着けることも重要です。運動によって胃腸の血行が良くなり、蠕動運動が促されます。初めのうちは、無理のないウォーキングや体操からスタートすると良いです。
気分転換でストレス解消
育児やお仕事などでお忙しくストレスが溜まっている際は、適度な運動や趣味の時間を作るなど、ご自身にあったリフレッシュ方法を見つけると良いでしょう。
十分な睡眠時間の確保
市販の胃腸薬の服用によって胃の症状が落ち着くことがあります。ただ、胃がんなどの深刻な疾患によって胃の症状が起こっている恐れもあります。睡眠をしっかり取ることは、自律神経が正常化されるので有効です。
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療
ヘリコバクター・ピロリ菌の検査には、尿や血液を使う抗体法、呼気を用いて検査する尿素呼気試験、胃カメラを使用する培養法などがあります。